夏の夕暮れに神秘の動物コウモリに迫る「コウモリミステリーツアー」を開催

軽井沢で、森の自然体験ツアーを開催する「ピッキオ」（所在地：長野県軽井沢町）は、野生のコウモリを観察する「コウモリミステリーツアー」を、2017年8月11日～15日の期間限定で開催します。鳥でもないのに自在に空を飛ぶコウモリを、コウモリ探知機などの道具を駆使して観察。夕暮れの森に乱舞するミステリアスな姿が知的好奇心を刺激します。

コウモリの神秘をとおして、知的好奇心の扉を開く体験を

夜になると、どこからともなく現れて、小刻みに素早く飛んでいくコウモリは、非常にミステリアスな存在です。私たち人間と同じ哺乳類でありながら、自在に空を飛ぶ様子は、まさに自然の不思議さを象徴しているかのようです。しかし、誰もがその名を知っていながら、正体不明の存在と思われているのも事実です。ピッキオは、日の目を見ずに生きているコウモリの真の姿に迫ることで、コウモリを見る目が変わり、知的好奇心の扉が開く体験を多くの方に提供したいと考え、本ツアーを開催します。

なお、2010年～2015年にもピッキオではコウモリ観察ツアーを行っていましたが、ピッキオビジターセンターの移転に伴い、一時中断していました。2016年8月にピッキオビジターセンターの移転が完了し、その眼前に広がる池で、再び何十匹ものコウモリを確認できたため、２年ぶりにツアーを復活することにしました。

ツアーの特徴

1．コウモリをこよなく愛するスタッフによるレクチャー

ツアーは、キャンドルが妖しく灯る空間でのレクチャーで幕を開けます。コウモリをこよなく愛し、調査経験のあるスタッフが、剥製や骨格標本も用いて、飛ぶための身体の仕組みなどを解説します。

2．コウモリの乱舞を間近にじっくり体感

一番星が輝き始める頃になると、ピッキオビジターセンターの目の前の「ケラ池」には、 30～40匹ものコウモリが水面近くを乱舞します。水中から羽化するカゲロウやカワゲラなどの水生昆虫を捕まえにやってくるのです。これは彼らの「朝食」の時間です。わずか30分程の朝食の時間帯を予測して、コウモリを観察します。人のすぐ脇を高速ですり抜けることもあり、コウモリの存在を体感できます。

3.「コウモリ探知機」で、聞こえない音をキャッチ

コウモリが出す超音波を探知するコウモリ探知機（バットディテクター）が活躍します。これは人間には聞こえない超音波を可聴音に変換する機械で、周波数によってコウモリの種類がわかります。

観察するのは、モモジロコウモリ

本ツアーでは主に、モモジロコウモリを観察します。池などの水面上を飛翔して、羽化する水生昆虫などを捕らえて食べるコウモリです。体重は 6～11グラムほど。洞窟や隧道、防空壕などの人口洞穴を好みますが、2011年のピッキオの調査では、ねぐらとして地下の水道管や別荘家屋を使用していることが確認されました。モモジロコウモリがねぐらに家屋を使用した例は、これまで記録がなく、これが初の確認でした。

闇夜を見る目と、空飛ぶ手

コウモリは、夜空を自在に飛翔するために、身体の仕組みを特殊な形に進化させてきました。その一つが超音波です。コウモリの目は小さく、あまりよく見えていません。代わりに超音波を出し、跳ね返ってくる音の情報を捉えて、食料である昆虫を探したり、周りの様子を探っています。骨格からは、手の指が翼の機能をもつ「翼手」に進化したこともわかり、生き物の多様性に驚かされます。

コウモリの印象をマイナスから、もう一度プラスへ

東アジア文化圏では、古来、コウモリは幸福の象徴とされています。日本でもかつては着物などの文様としてコウモリがしばしば用いられ、商標やロゴマークなどに使用している企業もあります。しかし、現代の日本では、西洋文化の影響を受けてか、不気味、吸血鬼などのイメージが浸透しており、一般にコウモリに対してよい印象を持っている人は少ないようです。しかし、先入観に基づくものの多く、例えば、世界に生息する約1000種のコウモリのうち、吸血コウモリは南米に生息する3種のみです。コウモリの乱舞や、驚きの生態にふれてもらうことで、未知の世界を知るワクワク感を味わっていただきたいと考えています。そして、コウモリが日本の文化の中で再び愛される存在になることを願っています。

今後の展望

森とそこに暮らす生き物たちの世界は、私たちが思いもかけないような驚きで満ちています。軽井沢の森と生き物をこよなく愛するピッキオは、そんな驚きを多くの方に伝えたいと願っています。夜の森は、昼に活動する動物である人間にとって、非日常性を強く感じる場所と時間です。旅という非日常空間をより強く印象づける夜の自然体験プログラムを継続して開催してまいります。